「恋する日曜日 私。恋した」
BS-iがDocomoの提供で放映している「恋する日曜日」シリーズから生まれた映画だそうである。監督は「ヴァイブレータ」の廣木隆一。
病院の場面からはじまる。なぎさ(堀北真希)は母を癌で失い、父(若松武史)と二人暮らしをしていたが、母と同じ癌で三ヶ月の余命と宣告される。
夏休みだったこともあり、なぎさは家出をし、かつて住んでいた銚子を訪れるが、家はすでになく、幼なじみの聡(窪塚俊介)の家に転がりこむ。
聡の両親は新しい家に移り、古い家には家電製品の回収をやっている聡が一人で暮らしていた。なぎさは聡に対する思いを深めるが、聡は絵里子(高岡早紀)という年上の女性とつきあっていた。絵里子は離婚調停中の夫と別居し、娘のまどかと二人で暮らしていたが、スナックが忙しく、まどかに寂しい思いをさせていた。
なぎさはまどかと遊んでいるうちに、聡を奪った絵里子から娘を奪ってやろうという気持ちがわきあがってくる。なぎさはまどかを連れて海岸にいき、台風で荒れた海に彼女の手を引いてどんどんはいっていく。堀北の何を考えているかわからない美少女ぶりがこの場面の緊張を高めた。
一方、絵里子の家ではまどかがいなくなって大騒ぎになっていた。一人でもどったなぎさはなにくわぬ顔でまどか探しを手伝うが、まどかが父のところへいっているかもしれないと思い、別居中の絵里子の夫を訪ね、必死に訴える聡の姿を見せつけられる。
なぎさがまどかを殺しているかどうかが中盤のサスペンスになるが、実は小屋に隠していただけとわかる。その後がいけない。緊張が緩み、画面ががたがたになってしまったのだ。
なぎさは絶対に許されないことをしているのに、余命いくばくもないとわかると、あっさり許される。なんと安直な。ラスト、なぎさは他に乗客のいない乗合バスで、バスガイドのまねをするが、まったく意味不明。わけのわからない芝居をさせられている堀北真希が可哀想だった。
途中まではよかったが、安易に難病ものにしたために破綻したというしかない。
役者では高岡早紀が姉御の貫禄で、堀北を完全に食っていた。
映画の内容とは関係ないが、銚子の街の寂びれ方にショックを受けた。地方の疲弊というが、ここまで進んでいたのだ。