2007年8月10日金曜日

「ボルベール〈帰郷〉」

 「オール・アバウト・マイ・マザー」、「トーク・トゥー・ハー」につづくアルモドヴァルの女性賛歌三部作の最後の作品で、男に泣かされた女たちが支えあう話だ。前二作もよかったが、本作は傑作中の傑作である。「オール・アバウト・マイ・マザー」では赤ん坊を産んでエイズで死ぬ修道女を演じたペネロペ・クルスが高校生の娘をもつ母親役で主演している。
 ライムンダ(ペネロペ・クルス)とソレ(ロラ・ドゥエニャス)はマドリードで暮らしているが、三年前に山小屋で焼死した両親の墓参りのためにラマンチャの村によく帰っている。故郷の家には叔母が一人で住んでいるが、ぼけてきていて、ライムンダの母のイレーネがまだ生きていると思いこんでいる。迷信深い村人の中には叔母はイレーネの幽霊と暮らしていると噂する者もいた。
 ライムンダが墓参りから帰ると、夫のパコは会社を解雇され荒れていた。その夜、事件が起こる。パコは娘のパウラ(ヨアナ・コボ)を犯そうとし、パウラは身を守ろうとしてパコを殺してしまったのだ。ライムンダはパニックにおちいったパウラをなだめ、パコは本当の父親ではなかったと告げる。パコは別の男の子供を宿したライムンダと承知の上で結婚していたのだ。
 ライムンダは娘を守るために死体を隠そうとする。叔母の訃報が届くが、死体の始末をつけなければならないので、葬儀はソレ一人にまかせることになる。
 ここからがあっと驚く展開で、アルモドヴァル節全開だ。途中、オカルトかと思わせるが、最後はちゃんと辻褄があう。
 ペネロペ・クルスがすばらしい。ハリウッドではヤクザの情婦のような役ばかりだったが、彼女にはけなげな役があう。

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