2007年8月29日水曜日

「トプカプ宮殿の至宝展」

 東京都美術館で「トプカプ宮殿の至宝展」を見た。2003年の「トルコ三大文明展」もすごかったが、今回も見ごたえがあった。
 まず、絵画と文書類。花押入りの文書は何度見ても圧倒される。『わたしの名は紅』を読んだばかりだったのでミニアチュールが見たかったが、数点しかなかった。
 ついで、儀式用の武器類。金や銀で作られた斧、棍棒、兜、弓矢、火縄銃で、どれもおそろしく手がこんでいる。お約束の飴玉くらいあるエメラルドを柄にはめこんだ短剣もあった。
 スルタンのターバン飾りが今回の目玉だったが、クラッカーくらいあるエメラルドを中心に羽があしらわれ、派手である。巨大なエメラルドには魔力があるらしく、見ているだけでドキドキしてくる。
 ハレムの品々も充実していた。『アラビアンナイト』に出てきそうな装身具や調度品、楽器、衣服の本物がこれでもか、これでもかと並んでいるのである。スプーンや高下駄のような浴室用サンダル、さらには出産用の椅子まで展示されていた。細く繊細に作られており、華奢な感じがした。出産用の椅子は板が1cmくらいしかなかった。特別な木で作られているのだろうか。
 螺鈿細工の揺籠もあったが、それとは別に、一点しか残っていない黄金貼の揺籠が悠仁親王誕生を祝って特別展示されていた。構造は中央アジアや新疆で使われているものと同じだが、小便用の穴は開いていなかった。
 ガラス製のチェスの駒があったが、円柱を基本にしたモダンなデザインで、宝石がアクセントになっていた。宝石はともかくとして、あれをコピーしたら欲しい人が多いのではないだろうか。
 トルコ特産の薔薇の香水をたきこめた一角があったが、日本でいう薔薇の香りの涼やかさとは対照的な重苦しいまでに甘い香りだった。
 最後の部屋は中国陶磁器のコレクションだが、トルコ風に改造したものが珍らしかった。壺に蓋をつけるくらいならわかるが、花瓶の横腹に穴を開け、蛇の鎌首のような注口をつけて水差にしてあったりするのである。黄金より高価だったといのに、スルタンは豪快である。