2007年10月15日月曜日

レトロSF専門の激安DVD

 高田馬場駅前にムトウ楽器という老舗のレコード屋がある。靖国通りの両側に店があるが、新宿側のビルの二階の店はクラシック専門で格調高いのに対し、目白側はポップスと歌謡曲と落語のCDが雑然とならべられていて、ちょっとした昭和レトロの雰囲気だ。
 二階はDVD売場になっているが、レトロを通りこして場末感がわだかまっていて、いい感じなのである。。ここは穴場で、ブルース・ウィリス主演の『ブレックファスト・オブ・チャンピオンズ』など、アマゾンのデータベースにもないような珍品を買ったものだ。
 この数年はたいしたものが出ず足が遠のいていたが、久しぶりにのぞいたところ、レジ側の一番奥に見るからに怪しげなコーナーが出来ていた。けばけばしいジャケットを正面に向けてWHDジャパンという会社のDVDが陳列されていたのである。
 WHDはレトロSFとホラー専門に激安DVDを出している会社らしく、そそられるタイトルがごろごろしている。
 まず目についたのは「『ソラリス』の原作者が放つ禁断の空想科学映画!」とポップのついた『金星ロケット発進す』。ジャケット裏の説明を読むと『金星応答なし』の映画化ではないか。しかも、ヒロインは日本女性だ。こんな映画があったなんて知らなかった。
 一点780円なので、『金星ロケット』とウェルズ原作の『来るべき世界』、ジャケットの笑える『火星から来たデビルガール』、解説がおもしろそうだった『メシア・オブ・ザ・デッド』の4枚を買ってきた。
 WHDのホームページを調べると、500円のものもあった。『メトロポリス』や『カリガリ博士』など、他社から出ているものは500円、WHDでしか出ていないゲテモノは780円ということのようだ。
 500円ものには「新訳」という惹句がついている。PDものは概して字幕の翻訳がいい加減であり、SFやホラーとなるとジャンルの約束を知らない人間がデタラメな訳をつけることがすくなくないが、その点を改良して差別化を図ったらしい。
 うれしいことにアマゾンでもあつかっている。WHDで買うと送料がかかるが、アマゾンなら780円ものなら2点、500円ものなら3点買えば総量が無料になる。
 『メトロポリス』は「国内発売ではモロダー版でしか観る事のできなかった競技場のシーン等の幻のフィルムを発見。WHDジャパン独自の編集により加えた117分の特別バージョン」と銘打っているが、アマゾンの読者評を見ると、場違いな音楽がついているなどの理由で評判がよくない。
 一方、『吸血鬼ノスフェラトゥ』と『巨人ゴーレム』はなかなか評価が高い。
 新作が毎月出ていて、『シスター・オブ・デッド』などもおもしろそうだ。