2007年10月11日木曜日

「プレステージ」

 宿命のライバル関係にある二人のマジシャン、ロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とアルフレッド・ボーデン(クルスチャン・ベール)の相克を描いた奇作。
 冒頭、ボーデンが舞台の地下に駆けこむと、アンジャーが密閉された水槽の中でもがき絶命し、その場にいあわせたボーデンが殺人罪で逮捕される。外連味たっぷりの出だしだが、凶器となった水槽は無名時代のボーデンが脱出マジックでアンジャーの妻を事故死させたいわくつきのものだとわかる。事故以来、二人はことごとにいがみあい、憎しみが憎しみを呼んで、抜き差しならない関係になる。
 出だしがすごすぎて、対立がエスカレートする部分が中だるみ気味だが、後半、盛りかえしてくる。ニコラ・テスラが登場した時点で並の終わり方はしないだろうと思ったが、まさかそんな結末にはしないだろうと思った通りの結末になり唖然とした。
 こんな変態的なストーリーを考えたのはただ者ではないと思ったが、はたしてクリストファー・プリーストの『奇術師』という長編が原作だった。『奇術師』はさらに手がこんでいるらしい。結末がわかっていても読んでみたくなった。
 十分おもしろいけれども、演出が上手ければもっとおもしろくなったと思う。スカーレット・ヨハンソンが重要な役で出てくるが、対立がエスカレートする部分がごちゃごちゃしているためにキャラが埋没している。彼女を活かせていれば中だるみはなかったろう。