2007年10月21日日曜日

「文豪・夏目漱石展」

 江戸東京博物館で「文豪・夏目漱石展」を見た。老人で混んでいたが、若い人も多かった。『直筆で読む「坊っちやん」』なんていう本が新書で出るくらいで漱石人気は健在だ。
 原稿や初版本、書簡、写真あたりは定番だが、辞令や英国で買い集めた蔵書、落書き、衣服、デスマスクまでならべててある。よくこんなものもまで保存していたものである。骨格からコンピュータで推定した復元音声が流れていたが、夏目房之助よりも白井晃の声に似ていた。
 岡本一平の描いた漫画の漱石像は有名だが、実は連作になっていて、そのすべてが展示してあった。これが一番おもしろかった。
 漱石にはユーモラスな面と不機嫌な面の両方があると思っていたが、不機嫌な面しか感じられなかった。晩年に近くなると陰気な印象がさらに強まり、修善寺の大患から先は重苦しくさえ感じられた。