「恋愛睡眠のすすめ」
同じゴンドリー監督の「エターナル・サンシャイン」はすばらしかったが、こちらは期待はずれ。
パリ生まれ、メキシコ育ちの内気な青年ステファンがパリに到着したところからはじまる。ステファンの父はメキシコ人、母(ミュウ=ミュウ)はフランス人だったが、両親は離婚し、彼は父親につれられてメキシコにわたった。父親が亡くなったので、母親に呼ばれてパリにやってきたもの。
母親はアパルトマンを一軒所有していたが、今は芸術家の恋人の郊外の家で同棲していて、ステファンは子供の頃住んでいた最上階の部屋に一人で住みはじめる。母親が用意してくれた仕事はデザイナーということだったが、実際はカレンダーに文字をいれるだけの単純作業で、フランス語のうまくないステファンは早くも空想に逃避するようになる。
空想世界は段ボールや飛び出す絵本で作られていて、ほほえましいが、そこに事件が。隣室にステファニー(シャルロット・ゲンズブール)が引越してきてのだ。ステファンは成り行きで引越を手伝ったことから彼女に引かれるようになるが、心が通いあったはずなのに、彼女は恋人はいらないと拒絶する。
ステファンはいよいよ空想に逃避していき、現実と空想の区別がつかなくなる。彼は会社を馘になり、メキシコに帰ることにするが、ステファニーを思いきれず、未練な行動をとっていよいよ嫌われてしまう。
空想シーンは才気走っているが、現実シーンがぐちゃぐちゃすぎる。日本だったらこういう男にも別の着地点があるが、フランスの場合、ハードランディングしかないのだろう。