「クイーン」
ダイアナ妃の死の後の英国王室の内情を描いた映画だが、3ヶ月前のブレア首相就任時点からはじまる。就任するまでの手続を通して女王の役割を紹介しようというわけだ。
覗き見趣味をほどほどに満足させ、人間模様を見ることもでき、英国の政治制度の勉強にもなるというよくできた映画だが、感動するところまではいかなかった。
エリザベス女王を演じるヘレン・ミレンはすばらしいが、他の役者がしょぼすぎるのだ。ブレア首相がかっこよく描かれてはいるが、所詮、脇役であって、女王に拮抗する人物にはなっていない。王室の面々も小粒だ。ヘレン・ミレンがどんなによくても、対立する人物がいないとドラマにはならない。映画のブレアは3ヶ月で反王室から女王のファンに転向したが、ここを掘りさげればドラマが生まれたかもしれない。