2007年10月15日月曜日

「エターナル・サンシャイン」

 記憶消去技術が発明された社会を舞台にしたほろ苦いラブストーリー。封切を見のがしたが、やっと映画館のスクリーンで見ることができた。これは傑作である。ゴンドリー監督の最高傑作といっていいだろう。
 ヴァレンタイン・デーの朝、会社に行こうとしたジョエル(ジム・キャリー)は急に海が見たくなり、病気と偽ってモントーク行きの電車に乗る。モントークの海岸で彼はクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)という女性と知りあう。ジョエルは内気だが、クレメンタインは陽気で多血質で、積極的にジョエルにアプローチしてくる。二人はつきあうようになるが、実は……という展開。結末は途中で見当がつくが、それでも引きこまれた。
 見終わって考えこんでしまった。一見、よくあるボーイ・ミーツ・ガールのようだが、深い。『マトリックス』同様、あくまでエンターテイメントでありながら、哲学的ともいえる問いを投げかけてくる。
 記憶消去をうけおうラクーナ社がハイテク企業ではなく、場末の私立探偵の事務所のような一室で開業しているという設定がいい。他人様の頭の中をいじるのに、作業員がちゃらんぽらんなのがリアルだ。
 ジム・キャリーは内気で引っ込み思案の役が思いのほか似合っている。ケイト・ウィンスレットは地でやっているんじゃないかと思うくらいぴったりで、まさに多血質。彼女の環状の深さがないと、この映画は成りたたない。
 キルステン・ダンストは盲腸のような役だったが、すごくよかった。今まで嫌いな女優だったが、はじめていいと思った。