2007年9月23日日曜日

「脳が地震を予知する!?」

 テレビ朝日の「素敵な宇宙船地球号」で「脳が地震を予知する!?」が放映された。
 地震の前にナマズが騒ぐとか、鼠がいなくなるとかいった前兆現象が起こることが伝承として伝えられているが、これまでは迷信で片づけられ、一部の好事家が興味をもつにとどまっていた。しかし、計測技術の進歩によって前兆現象を科学的に検証しようという試みがはじまり、徐々に成果が出てきているという内容である。
 前半では生物前兆現象を利用した中国の地震予知体制とスマトラ沖地震の際の生物の異常行動を紹介していた。
 スマトラ沖地震の際には、津波の到達する数時間前にスリランカの低地にいた象が鎖を引きちぎって高地に避難し、一頭も難に遭わなかった事例がニュースになった。象は人間の耳には聞こえない超低周波でコミュニケーションをとっており、津波の発する超低周波をいち早く感知したと説明されているが、実は地震の4日前から、ヤーラ国立公園の象の群れに異常行動が見られたというのだ。もし地震の前兆として超低周波が出ていたとしても、スリランカは震源から1600kmも離れており、それだけでは説明がつかない。
 番組では大地震の直前に震源付近で起こる小規模な岩石破壊で発生する電磁波を生物が感知しているのではないかという山中千博氏の仮説をもとに、実験室で岩石を破壊した時に発生する電磁波と同じ波形の電磁波を象にあてたところ、象はあわてだし超低周波の警戒音を発することを確認した。生物の前兆現象を研究している中国の研究機関にも同じ装置を持ちこみ、さまざまな生物に電磁波をあてたところ、やはり顕著な反応があった。
 後半では人間で同じ実験を試みていた。大地震の数日前に耳鳴りがするという福岡博さんと江口香織さん、対象群として東海大学医学部の学生に実験室で岩石を破壊した際に発生する電磁波と同じ波形の電磁波をあて、光トポグラフィーで脳の反応を計測したところ、福岡さんと江口さんの脳の聴覚野に反応が起き、耳への圧迫感も再現された。
 次に実際の地震の前に観測された電磁波の波形をあてたところ、さらにはっきりした反応があらわれ、しかも学生の脳にも反応が見られた。学生自身は耳鳴りも圧迫感も感じていなかったが、脳は電磁波に反応していたのである。
 鈍いか鋭いかという程度の差こそあれ、人間の脳には地震の前兆の電磁波を感知する能力がそなわっているらしい。地震は生存の危機に直結するわけで、長い進化の中でそうした能力が発達したとしても不思議はない。
 野口整体では地震の数日前から心臓病が悪化すると言っていたが、あながち根拠のない話でもなかったのかもしれない。