「燃えつきた地図」
安部公房の代表作の映画化である。監督は勅使河原宏、主演は勝新太郎。
安部公房原作にしてはアクション的な要素のある作品なので、勝新太郎主演もありということになったのかもしれないが、この配役は逆効果だった。主人公の探偵がボコボコに殴られる場面がいくつかあるが、なにも反撃しないのである。勝新太郎がおとなしく殴られているだけなんて、見ていてイライラしてくる。
しがない探偵なのでスバル360を足に使っているが、勝新太郎が小さなスバルでは格好がつかない。渥美清を助手席に乗せて走る場面があるが、小さな車に勝と渥美の巨大な顔が二つ正面向いて並ぶ図は悪い冗談だ。
市原悦子のエロチックな場面とか、イモっぽかった頃の吉田日出子とか、見てはいけない映像が出てくる。
唯一格好いいのは探偵の妻役で出てくる中村玉緒。この頃はまだ松たか子と同じ美人路線を歩んでいた。ここで離婚していれば、バラエティ・オバサンにはなっていなかったかもしれない。