第19回ICPFセミナー「政府の知的財産戦略」
第19回ICPFセミナー「政府の知的財産戦略」を聴講してきた。ゲストは内閣官房知的財産戦略推進事務局の大塚祐也氏。
大塚氏は首相官邸サイトで公開されている「知的財産推進計画2007」のまとめにあたった人で、前半は立て板に水の講演だったが、これといった中味はなかった。レジュメが公開されているが、これに尽きている。
後半、質疑に移ると、のっけから数字の詐術を指摘されて立ち往生。レジュメ15頁にGDPに対するコンテンツ産業の規模の比較があり、日本は2.66%で世界平均の3%より低いと大塚氏は危機感を煽っていたが、これは一国だけ突出したアメリカを含んだ平均である。アメリカを除いた世界平均は2.4%になり、日本は平均を上回っている。アメリカが突出しているのは英語によるところが大きい。
大塚氏は音楽などは言語に関係ないと反論を試みるが、最近の音楽にはほとんど歌詞がついているという指摘を受けて、またも立ち往生。
現行著作権法ではサーチエンジンの検索サーバーを日本国内に置けないので、検索サーバーを著作権法の例外にする話がもちあがっていて、「知的財産推進計画2007」の重点編にも挙げられているが(21頁)、これが間違いという指摘も出た。著作権法には日本国民(法人を含む)の国外犯の規定があるので、日本法人がある以上、検索サーバーを日本国外においても引っかかるというのだ。
わたし自身、著作権法の壁のために日本では検索サービスがはじめられないという説を信じこんでいたが、いわれてみればその通りだ。著作権のあるCDやDVDを勝手に製造したら、国内でプレスしようと国外でプレスしようと、違法であることに変わりはない。検索サーバーも同じことである。ネットでは常識になっているとのことだったが、わたしは知らなかった。
Yahooの検索サーバーは国内にあるという話も出たが、知財本部ではそのあたり、まったく把握していなかったそうで、大塚氏は呆然としていた。
以上は枝葉の議論だが、この後、知財本部の認識は時代遅れだという根本的な批判があいつぎ、吊るし上げの様相を呈した。ICPFセミナーは糾弾集会になることが多いが、今回は特にひどかった。大塚氏はなにも言い返せず、最後は涙目状態だった。
次回は文藝家協会の三田誠広氏がゲストだという。三田誠広氏は著作権延長の先頭に立っているから、今回以上の一大糾弾集会になるのは間違いない。三角帽子をかぶせられ、ジェット式ぐらいはやらされるかもしれない。もちろん、見にいくつもりだ。