2007年6月6日水曜日

「悪夢探偵」

 塚本晋也監督が松田龍平とhitomiで撮ったエンターテイメント(!)である。もちろん、塚本本人も重要な役で出演している。
 塚本監督のエンターテイメントとはどんな代物かという興味で見たが、ちゃんとエンターテイメントになっていた。クローネンバーグの「ザ・フライ」まではいかないが、「イグジステンズ」のレベルには達している。
 悪夢にうなされ自分自身をめった刺しにして死ぬ事故がつづいて起る。間違いなく自殺だが、自殺者は眠る直前に同じ番号の携帯電話にかけていることがわかり、警察が捜査をはじめる。
 キャリアながら自ら現場を志願した霧島慶子(hitomi)が捜査陣にくわわるが、古手の刑事に敬遠され、「別の線」からの捜査にまわされる。
 「別の線」とはオカルトだ。警視庁には怪しげな霊能力者とコンタクトする部署があり、他人の夢の中にはいれるという影沼京一(松田龍平)を紹介される。
 勢いこんでいた霧島は落胆するが、コンビを組んだ若宮刑事(安藤政信)が問題の番号に電話をかけ、同じように無残な死に方をしたのを目のあたりにし、彼女自身もその番号に電話をしてしまう。眠ったらお終いなので、それまでに犯人を検挙しなければならない。
 悪夢の描写もなかなかだが、電話を通した会話で無意識に潜む自殺願望が活性化されていく条りがリアルで、ここが一番怖い。
 よくできた映画だが、欠点はヒロインのhitomi。大根足をつっぱるだけのウドの大木。演技が拙いのはともかくとして、美人でないのは致命的。十人並みの顔でホラー映画のヒロインが張れるわけがない。