2007年6月9日土曜日

李登輝氏の靖国参拝

 台湾の李登輝前総統が7日、実兄の李登欽氏が合祀されている靖国神社を参拝された。李登欽氏は陸軍特別志願兵として出征し、昭和20年2月15日、ルソン島で戦死されたという(SankeiWeb)。
 マスコミは中国外務部の不満会見をメインに、李氏の参拝が日本にとってさも迷惑なことのように伝えたところが多かったが、ネットのおかげで当日の靖国神社の模様を知ることができる(東アジア黙示録)。
 また、1日におこなわれた後藤新平賞受賞記念スピーチは宮崎正弘氏のレポート2007年6月1日で、7日におこなわれた「2007年とその後の世界情勢」という講演の要旨は宮崎正弘レポート2007年6月8日大紀元で読むことができる。9日には日本外国特派員協会の講演で「靖国問題は中韓が作り上げたもの」と明言されたとのこと(大紀元)。
 「2007年とその後の世界情勢」という講演は示唆に富む。イラク失敗によるアメリカの影響力低下は新政権が軌道に乗る2009年までつづき、その空隙をついてロシアが失地回復をはかり、ベネズエラなど反米勢力が挑発的な行動に出ている。
 東アジアでも2009年までアメリカの影響力の低下した状態がつづく。2007年は主要国が内部固めに忙しいので平穏だろうが、2008年には日中の対立が表面化すると指摘している。
 中国は地域間格差や農民暴動、バブル崩壊の危機という国内問題から国民の目をそらすために、対外緊張を演出せざるをえない。日本はアメリカの援助がえられないまま、中国の圧力に立ち向かわなければならないことを覚悟しておく必要がある。
 中国経済が危ないという話は日本のマスコミもとりあげはじめているが、李氏はきわめて厳しい見通しを披瀝された。宮崎レポート2007年6月8日から引く。


 中国の問題は国内金融である。GDPの40-60%もの不良債権。これは96年の台湾における金融危機、97年からのアジア通貨危機を上回る規模の危険性を示してあまりあるもので、いずれ爆発は回避できまい。
 いまの中国経済は輸出拡大志向だが、利益の殆ど無い輸出に依存せざるを得ないのは、キャッシュ・フローの維持にこそ、その目標があるからだ。しかしこの経済金融政策は失敗している。輸出一途の拡大路線は、健全な経済運営とはいえず、むしろ問題を悪化させている。

 中国投資をあおる人たちは、EUが投資を拡大しているからまだ大丈夫だとか、グリーンスパン発言でも株価下落は一時的だったと言っているが、EUは中国から遠いし、グリーンスパン発言後の株価回復は一攫千金を夢見る中国人個人投資家が押し寄せた結果にすぎない(宮崎レポート2007年6月6日)。中国人個人投資家の平均株式保有期間は20日であり、投資というよりギャンブルである。1929年の大恐慌も、危ない危ないといわれながら、それまで株を買ったことのなかった庶民が怒濤のように株式市場に流れこみ、膨らみきったバブルをさらに支えつづける状況の中で起った。
 中国バブルがいずれはじけるが、その時は日本にも大波が押し寄せるだろう。まさかとは思うが、民主党政権だったらひどいことになる。