2007年5月27日日曜日

「どついたるねん」

 1989年製作の赤井英和の主演デビュー作。タイトル戦で脳挫傷を負い、隠退を余儀なくされたボクサーのその後の人生という赤井の人生と重なるストーリーである。
 現実の赤井は役者に転進したが、作中の安達はオカマ・バーの経営者の北山(美川憲一)に出資してもらって自分のジムを華々しくオープンさせる。最初はよかったが、ボクシングをあきらめきれない安達は周囲にあたりちらし、研究生に逃げられ、ジムを閉めなければならなくなる。万事休した安達は後足で砂をかけてやめたかつて所属したオンボロジムにもどり、ボクサーとして再起をはかる。
 ストーリーは先が読めるが、そんなことはどうでもいい。赤井英和がいいのだ。まだボクサーの顔をしていて、周囲を固めたコテコテの芸人の中では異和感があるが、浮いている印象にはならない。存在感で圧倒しているからだ。
 安達をささえるオンボロジムの会長の娘の貴子を演じた相楽晴子と、トレーナーをつとめる元バンタム級チャンピオンの左島の原田芳雄がまた泣かせる。見るべし。