2007年6月5日火曜日

「ダ・ヴィンチ」展

 国立博物館の特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ――天才の実像」を見た。
 本館と平成館にわかれるが、本館には今回の呼び物の「受胎告知」だけが展示してある。人類の至宝だけに鞄の中味を見られ、金属探知機をくぐらされる。展示室は真っ暗で、「受胎告知」の前で列が三重に折れ曲がっている。
 最初の列は左向きだが、ここは遠すぎる。二番目の列は右向きで、全体として見るにはちょうどいい。列が動かないので、5分くらいじっくりと見ることができた。見ていて飽きない。
 TVの特集番組でさんざん紹介されていたように、この絵は右手前から斜めに見た時に自然に見えるように構図が決められているが、二番目の列から三番目の列に移る曲がり角がその地点に当たっていた。ところが、曲がり角なので、一瞬で通過させられてしまった。
 三番目の列は1mほどの至近距離で右向き。二番目の列からは十分見ることのできなかったディティールがはっきり見え、描きこみの精緻さに驚いた。しかし、列の動きが速く、細かく見ることはできなかった。
 デジタル技術が進歩したといっても、オリジナルにはかなわないと再認識した。
 平成館の方はレオナルドの科学者としての側面に光をあてた展示で、手稿をもとに製作した模型やCGによる解説映像が主体だった。それなりにおもしろかったが、ガラスケースの中に麗々しく納まっている手稿はすべてファクシミリ版だった。「受胎告知」のオリジナルに圧倒された後だけに、ファクシミリ版はないだろうと思った。